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文=松原孝臣

世界選手権で初優勝

 信頼されることが、どれだけ人に力を与えるのだろうか。

 世界選手権での宇野昌磨の姿を観ていて、思わず感じたことの1つだ。

 今シーズン、宇野の活躍には目覚ましいものがあった。グランプリシリーズではスケートアメリカ2位、NHK杯で優勝。全日本選手権で2位となり、北京オリンピックでは2大会連続表彰台となる銅メダルを獲得した。

 迎えたのは、シーズンを締めくくる世界選手権。全日本選手権直前の練習で痛めた右足も回復し、状態が上向いた中での大会だった。宇野自身も大会までの練習に手ごたえをもって迎えた試合では、それを形として示した。

 ショートプログラム『オーボエ協奏曲』で会心の演技を披露して1位となって臨んだフリー『ボレロ』でも、わずかなミスはあったがそれを払拭する演技を見せる。

 終わってみればショートプログラム109.63点、フリー202.85点、総合312.48点とすべてで自己ベストを更新。世界選手権で初めて優勝を遂げた。

 得点もさることながら、宇野が自身の滑りに対して抱いた感触を感じさせたのは、キスアンドクライでの様子だった。

 宇野の左隣にはコーチのステファン・ランビエルが、右隣にはトレーナーの出水慎一氏がいた。得点を知った瞬間、3人の顔には笑顔が広がった。宇野の表情には、心からの喜びを素直に表れていた。そしてランビエルと抱き合って喜ぶ姿には、ランビエルへの感謝があふれているようだった。

北京オリンピックでの心残り

 記者会見や試合後の取材の場では、しばしば、ランビエルに触れてきた。

 北京オリンピックで心残りとしてあげたのは『ボレロ』の出来だったが、このように語っている。

「この『ボレロ』が、ステファンが満足する、よかったといっていただけるような演技をできなかったことです」

 振り付けもしてくれたランビエルへの申し訳なさがそこにあった。

 世界選手権で優勝したあとの言葉にもあった。緊張を乗り越えられた要因として、「自分だけのために、は得意ではない」旨を語ったあと、こう続けた。

「いちばんはここ数年、なかなか成績が出ない中でも応援してくださる方だったり、何もできない時にお世話になったステファンコーチだったり、素晴らしい成績を残したい、という思いはありました」

 宇野が寄せる信頼が、そこにあった。

 それは宇野からランビエルへのものだけではない。