筆者が直接電話して聞いた中西部アイオワ州の食肉生産者、エリック・オークスさん(63=大学で学位を取った白人知識人)はこうコメントする。

 「トランプ氏の選挙公約で言った対日貿易不均衡は首脳会談前から取り上げないことを決めてしまった。いったい何のために東京までのこのこ出かけて行ったのか」

 「それほどまでして『即位直後の新天皇に会見する初の外国元首』になりたかったのか。自分のエゴじゃないか」

 「日本人は形式とか儀式を重んずるとは聞いているが、なぜこんなカブキプレー(大げさに儀式ばって演ずることを指す)をしてまで、日米同盟が最強であることを世界に示す必要があるのか」

 「そんなことをしなくても、かって敵国だった日本は今や英国やカナダに次いで米国人が最も好きな同盟国じゃないか」

(https://news.gallup.com/poll/1624/perceptions-foreign-countries.aspx)

安倍首相の「面従腹背」は百も承知

 それではなぜ日本(安倍首相)がそこまでトランプ大統領に気を遣ったか、だ。

 米国内では「論争の的になっている大統領」であることを知りつつ、安倍首相はトランプ大統領になぜこれほど接近し、個人的関係を大事にしているのか――。

 米国民(特に反トランプの知識人たち)は、首を傾げている。つまり安倍首相率いる日本の本心は奈辺にありや、だ。

 日米関係専門家としてはいま最も高い評価を受けているマイケル・グリーン戦略国際問題研究所(CSIS)上級副理事長は、トランプ訪日に同行する記者たちを対象に行った専門家数人との電話ブリーフィングでこう指摘している。

 「安倍首相はトランプ支持では他の外国首脳に比べて群を抜いていた。それでいて、安倍首相が国内政治的に大きな代償を支払ってきたか、というとそうではない」

 「安倍氏の支持率は今なお50%前後。政権就任後7年目で、安倍疲れはあるが政権は安定している」

 「日本としては、朝鮮情勢、中国の軍事的脅威など周辺の環境を見るにつけ、今、日米関係を堅持することが唯一最善の外交だと考えている」

 「そこで安倍首相が、日米関係堅持のために、気まぐれで予想困難なトランプ氏をうまく操縦することを支持している」

(https://csis-prod.s3.amazonaws.com/s3fs-public/event/190521_Press_Call_Trumps_to_Japan.pdf)