(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 2019年7月、カリフォルニア州政府はホンダ、フォード、フォルクスワーゲン、BMWとの間で独自の燃費目標を設定した。この燃費目標の設定は企業の談合にあたり反トラスト法(日本の独禁法に相当)に違反しているのではないかという疑いで米司法省が調査した。だが司法省は、反トラスト法に対する違法性を追求するのは難しいとの判断を下した模様だ。日本時間の2月8日、アメリカのメディアが伝え、これを受けて日本ではNHKなどが報じた。

 この問題が日本で詳しく報じられることは少ない。だが、筆者は2つの側面から重要だと考えている。

 1つは、アメリカにおける燃費基準のダブルスタンダードだ。

 アメリカ合衆国連邦政府は企業平均燃費(CAFE:Corporate Average Fuel Efficiency)を設定している。連邦政府が自動車メーカーごとに企業平均の燃費を算定し、その燃費が基準値を下回らないように義務付けている。一方、カリフォルニア州では大気資源局(CARB)が定める環境対応施策を掲げている。アメリカでは州法の影響力が大きいため、2つの燃費基準が併存している状況だ。

 振り返ってみると、カリフォルニア州は1960年代から自動車保有台数が大きく伸びたことで大気汚染が進み、66年から独自の自動車排ガス規制を制定するようになった。連邦政府は1970年、クリーンエア法によってカリフォルニア州の独自政策を認める。この対応が燃費基準ダブルスタンダードの基点となった。

 なお、電動化について、カリフォルニア州ではCARBが1990年から独自にゼロ・エミッション・ヴィークル(ZEV)規制法を施行している。電動車の販売を事実上義務化する世界初の政策である。カリフォルニア州で一定台数以上の自動車を販売する自動車メーカーは、排出ガスを出さないゼロエミッション車(ZEV)を定められた割合以上で販売しなければならない。