リアルすぎる半地下生活

 映画には、リアルなところとファンタジーなところがある。その比率によってそれぞれ楽しめたり楽しめなかったりする。

 私がこの『パラサイト』を見ていられなかったのは、リアルなところが私の記憶を見事に刺激しすぎたためなのだ。ここではそのことを話したい。

 この映画のリアルなところは、一部の人たちにとってきわめてリアルである。映画のリアルさというのは、大衆文化の特性上、ある程度は緩和されて描き出されている。それを映画の中の出来事として素直に受け入れられれば面白く、珍しく見えるのだろうが、韓国の半地下生活の厳しさをある程度(つまり中途半端に)知っているものであれば、平常心ではいられなくなる。

 半地下生活が私にとってリアリティを持つのには、いくつかの理由がある。まず、私の知り合いにも1人、半地下生活を送っている人がいるからだ。

 彼が半地下生活を送るには、厳しい成り行きがあった。会社を潰し、離婚を経験し、子どもが暴力沙汰で警察の世話になる。これだけ書けば十分だろう。15年も韓国に住んでいれば、当初はそうではなかったとしても、そのような暮らしになってしまう知り合いもいるものだ。

 2つ目は、私も一歩間違えば半地下生活を送っていたかもしれないからだ。

 韓国で家を借りるには、巨額の頭金が必要だ。私が今住んでいる家でも、毎月支払う家賃とは別に、500万円ほどの頭金を預けている。それは家を引き払うときに戻ってくるから差し引きゼロなのだが、入居時にかき集めるのは大変だ。