韓国人はその頭金を準備するのに、たいていの場合は夫婦で銀行から借りる。だが、私のような外国人は、つい数年前まではそれができなかった。

 お金を工面できなければ、頭金や家賃が飛び切り安い半地下生活が待っている。

 あるとき、転居先を探そうと不動産屋を周っていたとき、「お得な物件があります」というので、下見に行ったことがある。歩いて向かっている途中、家内が「たぶん、半地下よ」と言っていたのだが、ずばり当たっていた。韓国人にはそれとわかるものだったらしい(家内は韓国人である)。部屋に入ってみると、映画に出てくるように、歩いている人の足が窓から丸見えだった。

 その半地下の家に私の家族が住むことはなかった。結局、私の家族は何年も、一人暮らし向けのような狭い家に暮らすことになった。

 というのは、私には半地下の生活を受け入れがたいつらい記憶があったからだ。それは、映画でも描かれる大雨である。それが、この映画を見ていられない3番目の理由である。

 恐らく10年ほど前だろうか、私は半地下の部屋がある集合住宅の3階に住んでいた。半地下には高齢の女性が1人で住んでいた。ある夏の日、ソウルを大雨が襲った。すると、長時間にわたる集中豪雨で下水道が逆流したのだ。半地下のその女性の部屋にあっという間に浸水し、私は部屋から水をかき出したり、ポンプで排水できるようになってから家具を外に出してあげたりした。