(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使)

 正義記憶連帯(韓国挺身隊問題対策協議会[挺対協]から名称変更。以下「正義連」)をめぐる寄付金不正使用の疑惑はますます深まったと言えそうだ。

 これを最初に提起したのが元慰安婦による抗議活動で中心的役割を果たしてきた李容洙(イ・ヨンス)さんだけに、「正義連も多少反省をするのではないか」、「正義連に対する韓国国民の見方も変わって来るのではないか」、「正義連の影響力低下が日韓関係に肯定的な影響を及ぼすのではないか」と期待する向きもあるにはある。

 しかし現実はそのようにはならないようだ。

疑惑晴らさず、開き直り

 正義連は慰安婦問題において、絶対的な発言力を有してきただけに、正義連に対する批判は韓国の政界にも波及している。しかし、尹美香(ユン・ミヒャン)前理事長を比例代表に擁立して国会議員選挙で当選させた与党「共に民主党」「共に市民党」は、野党が尹氏の不正について問題提起し、批判するのは「親日勢力」であることを露呈するものだ、として「親日論争」に持ち込み、言い逃れをしようとしている。これが今の文在寅政権の体質とは言え、韓国国内の問題を日韓関係にすり替えて逆攻勢かけようとする姿勢に釈然としないものがある。

 前稿(「元慰安婦の告発が剥がす慰安婦団体元代表の化けの皮」)では、李容洙さんが会見で、「寄付金が元慰安婦のため以外の目的で使われた、元慰安婦は尹美香氏に利用されるだけ利用されてきた」と述べたことを紹介、さらに、正義連が慰安婦問題の解決を妨害してきたこと、尹氏は2015年の慰安婦合意を事前に知らなかったと嘘をついていることなどについて解説した。

(参考記事)元慰安婦の告発が剥がす慰安婦団体元代表の化けの皮
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60488

 しかし、寄付金が正義連幹部の利益にかなうように使われているのではないかとの疑惑に対する正義連と尹氏の釈明は、ひと言で言えば開き直りであり、真相解明とは程遠いものである。

 こうした対応を野党が批判すると、与党は野党の行動を「親日」と批判し、問題のすり替えを図ろうとしている。