元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)さんの告発会見によって火が付いた尹美香(ユン・ミヒャン)議員(共に民主党)と正義記憶連帯の「不正疑惑」。これについて、ここまで沈黙を守ってきた文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、「慰安婦運動の大義は堅固に守られなければならない」という第一声を出した。

 それに呼応するかのように、外交部と女性家族部は、尹美香議員と正義連に関する情報公開要求に対し、相次いで「不可」の立場を表明した。与党・共に民主党は、すでに「尹美香死守」で体制を固めているが、文在寅政権も本格的にそこに加わったとして、保守系メディアが相次いで批判の声を上げている。

論点すり替え図る文在寅大統領に噛みついた保守系メディア

 8日、文在寅大統領は、大統領府秘書官会議で1カ月以上も韓国社会を揺るがしている尹美香議員と正義連の事件について初めて口を開いた。文大統領は「極めて慎重にならなければいけないが」と述べながらも、「慰安婦運動の大義は堅固に守られなければならない」と強調した。

 文大統領は「慰安婦運動自体を否定したり、運動の大義を損傷させたりする試みは正しくない。被害者のおばあさんたちの尊厳と名誉まで崩す」とも主張した。

 さらに今回の事態の中心にある正義連の会計不正疑惑については、正義連と尹氏を直接取り上げず、「市民団体の活動方式や行動について振り返るきっかけとなった」とし、「政府は寄付金統合システムを構築し、寄付金または後援金募金活動の透明性を根本的に強化する」と付け加えた。そこには、論点をすり替えようとする態度が透けて見えた。

 東亜日報は『政権はフレーム戦術で善悪を覆すのに、野党はアイデンティティの混乱』(6月12日付)というタイトルの論説室長の署名コラムで、文大統領のこの発言を次のように批判した。

「大統領が原則論的な話をしたと援護する意見もある。しかし普段そのような話をすれば原則論だと言えるが、会計不正や横領疑惑などが先鋭な状況で、突拍子もなく原則論的な話を持ち出すとしたら、それは意図的に本質を濁らせることになる。曺国スキャンダルが真っ最中だった時も、多くの人は、陣営の首長ではなく、国家指導者として公正と真実について語ることを大統領に期待した。しかし、大統領は検察改革にピントを合わせ、曺国の不正問題から突然、検察改革問題へとフレームを変えてしまった。強大な宣伝扇動能力を持つ権力がフレームを変えれば、白黒が入り混じって不明になり、善と悪が入れ替わり、正義と不義は覆されて見える」