ボノム・リシャールを修理して使い続けるのか、それとも廃艦にして新たに新型艦を建造するのか、これから海軍首脳の頭を悩ませることになる。

 いずれにせよ、海兵隊緊急展開部隊と新鋭F-35Bを積載して出動する強襲揚陸艦ボノム・リシャールを当面の間は失ってしまったことだけは事実である。これによって、米海軍そして米海兵隊の戦闘能力が大きく制約されてしまったことも、また事実である。

米国の対中強硬姿勢はポーズとみるべき

 以上のように、大統領選挙戦に突入しているトランプ政権は威勢の良い対中強硬姿勢を打ち出しているが、軍事的事実の裏付けを伴わない選挙向けのポーズとみなされても仕方がない。

 トランプ政権の南シナ海における外交原則の大転換を、東シナ海においても実現されるであろうと期待し「今こそ尖閣問題解決のチャンスである」といった論調が日本で散見され始めた。しかし、日本がトランプ政権による対中強硬姿勢の「虎の威を借りて」中国に対峙することは不可能だ。

 自らの領土は自らの手で守らなければならない。日本自身が確固たる防衛戦略と適正な防衛戦力を保持しなければ、東シナ海における日本の主権は保持できないのである。

(北村 淳)