いわく「スムーズな国民経済循環を主体として新たな新発展フレームワークを構築する。国内大循環を主体に、国内・国際の双循環を相互に促進し、新たな発展フレームワークを促進することは、わが国の発展段階、環境、条件変化に基づいて提案されたことであり、わが国の国際協力と競争の新たな優勢を形作る戦略的選択である」

「新しい発展のフレームワークは決して閉鎖された国内循環ではなく、開放的な国内・国際の双循環である。我が国は世界経済における地位をさらに上昇させ、同時に世界経済と連携を密にし、他国家に市場チャンスを提供するために、さらに広く、魅力的な国際商品と資源をひきつける重力場となる」・・・。

 9人のブレーンたちが具体的にどのような提言をしたのかはわからないが、おそらく「内循環」がアジア経済の一体化を推進し、中国を中心とした新たなグローバル経済体系を想定しているのではないか、と思われる。つまり、中華経済圏というブロック内での内循環であり、それが外循環という国際経済における中国の分業の最適化につながる、という考えだ。

 アメリカを主とする西側大国ではグローバルサプライチェーンの組み直しが起きており、たとえば華為(ファーウェイ)がグローバルサプライチェーンからデカップリングされたため9月から自社製造のハイエンドプロセッサ「kirin」が製造できないといった問題に直面している。こうした、ハイテク分野の死命を制するイノベーションの創出、国内製造業を支える新たなサプライチェーンの開拓、形成などが、大「内循環」を意味していると思われる。14次五カ年計画のカギは、国内需要の拡大と技術革新だ。

 おりしも劉鶴と、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表、ムニューシン米財務長官が電話会談し、米中通商協議の第1段階合意が“生きて”いることを確認したのだが、この双循環が促進する新しいフレームワークに米国がどう関わるのか、関わらないのか。

ブレーンの意見を素直に聞けるか?

 しかし、李克強は本当にこのまま蔑ろにされてしまうのだろうか。もっとも、習近平が打ち出してきた政策のほとんどがうまくいっておらず、李克強としても今さらその尻ぬぐいをさせられるのは勘弁してほしいところだろう。失敗すれば責任を問われるし、成功すれば妬まれ、下手をすれば劉少奇が毛沢東に粛清されたように、習近平から狙い打ちされるやもしれない。

 今の中国経済の混迷は習近平自身に責任があるのだから、優秀なブレーンたちに助けてもらって自ら指揮をとって中国の難局を打開してもらうのがいいだろう。問題は、習近平がブレーンたちの意見を素直に聞くかどうか。

 専門家の多様な意見に耳を傾け、自らの誤った行動を修正していけるだけの指導者の器であれば、中国は今のひどい状況に陥っていなかったのではないだろうか。

(福島 香織)