(北村 淳:軍事社会学者)

 地上配備型弾道ミサイル防衛(BMD)システムであるイージス・アショアから発射する迎撃用ミサイルの推進用ブースターが住宅地に落下する可能性があることを表向きの理由として、イージス・アショア配備計画は唐突に撤回された。

 その代替案として、イージス・アショアを海上設備に積載して運用するという代替案を日本政府が持ち出したようである。

 システムを搭載するプラットフォームとしては、オイルリグ型BMD海上基地、商船型BMD専用艦、軍艦型BMD専用艦、の3案が提示されているという。軍事的観点ではなく「海上配備型ならば、ブースター落下の問題も設置場所周辺住民の反対運動も避けられる」という役所的観点から生み出された代替案であるが、いずれも明らかに愚策と言わざるを得ない。

なぜ地上配備型BMDを検討していたのか

 各案の具体的詳細は明らかにされていないが、地上配備用BMDとして設計されたイージス・アショアを、海上施設に積載する場合、再び設計変更に伴う余計なコストと時間がかかるのは当然である。そのうえ、いかなる海上施設にしても、その海上施設を敵の魚雷、ミサイル、特殊潜航艇、特攻自爆ボートなどの攻撃から防御するために、海上自衛隊が専属の護衛戦隊を貼り付けなければならなくなる。