今年(2020年)初めに日量約820万バレルだったシェールオイルの生産量は現在約760万バレルに減少しており、米石油大手コノコフィリップス幹部は9月24日、「2022年のシェールオイルの生産量は日量400万バレルに減少する公算が大きい」と悲観的な見通しを述べた。米国の石油企業トップの3分の2が「米国の原油生産はピークを過ぎた」と考えていると伝えられ(9月24日付ロイター)、「シェールブームは今や昔」である。

 9月30日にオアシス・ペトロリウム、10月1日にローンスター・リソーシズとシェール企業の破綻が相次いでいる。シェール企業が大量に発行しているジャンク債ETF(上場投資信託)市場では9月半ばから資金流出が始まっており、コロナ禍でも好調を維持している米国の金融市場に暗雲が立ち込めている(9月30日付日本経済新聞)。

低油価にあえぐ湾岸産油国

 今後の原油価格について、ロシア中央銀行は「1バレル=25ドルに下落する可能性がある」との予測を示している(9月10日付OILPRICE)。プーチン大統領は1バレル=46ドル以上の原油価格を望んでいるにもかかわらずに、である。

 ロシアは低油価でも耐えられるとされているが、湾岸産油国は厳しいだろう。米格付会社ムーディーズは9月22日、財政均衡原油価格が1バレル=約60ドルとされるクウェートの信用格付けを初めて引き下げた。議会との軋轢による政府の流動性リスクの高まりを理由に挙げている。サバハ首長の死去に伴い、9月29日ナワフ皇太子(83歳)が新首長となったが、難局を乗り切ることができるのだろうか。日本の原油輸入に占めるクウェートのシェアは約8%である。

 日本の原油輸入に占めるシェアが約3割のアラブ首長国連邦(UAE)の動向も流動的になっている。イスラエルとの国交正常化により経済面でのプラスが見込まれるものの、イランとの関係が急速に悪化している。イランは「イスラエルがイランの勢力に攻撃を仕掛けたら、対岸のUAE自身にも反撃する」と警告しており(10月5日付ZeroHedge)、ペルシャ湾はにわかに「波高し」となってきている。

 低油価が続くなか、ますます経済が苦境に陥っているのがサウジアラビアである。

 サウジアラビアの第2四半期のGDP成長率は前年比7%減となった。石油セクターは前年比5.3%減、非石油セクターは同8.2%減である。コロナ禍のせいでメッカ巡礼の参加者を大幅に制限したことによる観光収入の急減で、第3四半期の非石油セクターはさらに深刻な状態となることが見込まれる。国際通貨基金(IMF)はサウジアラビアの今年の成長率はマイナス6.8%になると予測している。ムハンマド皇太子が目論む脱石油経済化が一向に進んでいないのである。