(福島 香織:ジャーナリスト)

 どこが最初に言及するかな、と思っていたら英国だった。英国のラーブ外相は中国のウイグル人に対する人権侵害を理由に、2022年北京五輪をボイコットする可能性を示した。

 ウイグル問題だけでない。香港デモに対する弾圧、内モンゴルの語学教育政策への抵抗、チベットなどでの人権問題、そして新型コロナウイルス感染症の隠蔽など、この2年の間の中国の行動は国際社会に強い不信感をもたらした。西側各国の不信感は、2022年の北京冬季五輪に自国の大切な選手たちを送り込んでよいものか、平和とスポーツの祭典のホストとしてふさわしいのか、と躊躇させるレベルにまで膨れ上がっている。

懸念材料となる中国の隠蔽体質

 英紙テレグラフなどによれば、英国のラーブ外相が英議会の委員会で、中国当局のウイグル弾圧について「一般的に言えば、スポーツは外交や政治(の問題)から切り離すべきだと感じるが、それが不可能な場合もある」といった表現で北京冬季五輪ボイコットの可能性を排除しない姿勢を示した。

 世界60カ国以上の300以上の人権団体が、中国の人権侵害問題に対して緊急の対応をとるよう国連に呼び掛けたりしているが、この中で160の人権団体が、国際オリンピック委員会(IOC)に、中国の人権問題を大きな理由に2022年の北京冬季五輪の開催権の取り消しを求める署名活動も行っている。

 人権問題だけではなく、新型コロナ問題で再確認された中国の隠蔽体質も、懸念材料だ。中国は政治的メンツのために、新型コロナウイルス感染症の人から人への感染を少なくとも1カ月は隠蔽し、それが今に至るパンデミックを引き起こした。2003年のSARSの時は「全人代」という政治イベントを行うために4カ月間にわたってその発生を隠蔽し、やはり世界に被害を及ぼした。

 二度あることは三度ある、という。もし次に新たな感染症が中国で発生したなら、たとえば2022年冬季五輪を実現するために、その事実を隠蔽するかもしれない。2022年に世界が完全に新型コロナの恐怖から脱却できている、という保障もない。

 中国は本当に北京冬季五輪を実現できるのか、あるいは実現のためになにが必要なのか、ということを考えてみたい。