現実味を帯びるSEATO(インド・太平洋条約機構)

──4カ国外相会合を日本で開催した理由は何でしょうか、

酒井:「自由で開かれたインド太平洋」戦略は、地図で眺めれば、右側に米国、左側にインド、真中の北に日本で南にオーストラリアです。安倍前首相が提唱したからというのもありますが、地政学的に見ても日本が中心になるからです。

──酒井さんの新刊『New Rules』でも言及されていますね。

酒井:また、今回で2回目の会合でしたが、具体的な目的を持って会談したという意味では今回が初めてです。それを日本で実施したことの意味は大きかったと思います。そもそも、大日本帝国が大東亜共栄圏の先にインドを見ていたのは誰もが知る事実です。時代が変わったとはいえ、日本にアジア太平洋をまとめ上げる研究の蓄積があるのも事実です。

 具体的な目的というのは、質の高いインフラ、サイバー、海洋安全保障の3つが主ですが、米国にとっての仮想敵が中国なのは明白です。しかし、それがなくても、米国には、グローバルな海洋戦略を考える際に重要な同盟国が太平洋と大西洋に必要です。その一つが日本だったと言えます。

──ポンペオ国務長官、ひいてはトランプ政権のアジア戦略について改めて教えて下さい。「自由開かれたインド太平洋戦略」で目指しているものは何でしょうか。

酒井:South & East Asian Treaty Organization(SEATO<仮称>)の設立だと言えると思います。ただ、ソ連とワルシャワ条約機構を明確な敵と意識して、実戦を前提とした軍備に必死だったNATOとは違います。戦争以外の様々なレベルでの協調と安全を確保して、自由な活動ができるインド太平洋を維持するというものです。

 東南アジアと言うと、インドは南アジアだと言う話になります。しかし、この戦略はインド洋と太平洋の二つを結び付けて考えるのですから、地図上の左がインド、右が米国の広大な安全保障ということになります。

 例えば、米国のクリーン・ネットワーク戦略には海底ケーブルも含まれますが、太平洋やインド洋に敷かれる海底ケーブルは日米豪印で安全確保を行う、という発想です。海上、海中、海底のいずれも4カ国で守る。もちろん、そこに位置する国の安全を守り、お互いの経済発展を促す、というものです。