かつてないほど高まる台湾人の危機意識

 日本と台湾は、新型コロナウイルスの拡大によって、往来を一時停止していたが、9月8日から、「レジデンストラック」を再開させている。これは、短期商用と在留資格の対象者に関して、入国を認めるというものだ。

 台湾は現在、中国からの武力挑発に対する危機感を募らせている。10月21日には台湾国防部が、アメリカ製の精密誘導型空対地巡航ミサイル135発、航空偵察ポッド6基、高機動ロケット砲システム11基など、総額18億ドルの武器を購入すると発表した。

 また、10月24日に台湾国際戦略学会と台湾国際研究学会が発表した「台湾海峡安全調査」によれば、「もしも中国大陸が台湾に対して武力行使に出たら、台湾防衛のために戦う」と答えた台湾人は、77.6%に上った。前出の民進党関係者が続ける。

「いまや台湾人の危機意識は、1996年の台湾海峡危機の時よりも高まっている。アメリカで大統領選を巡る混乱が続けば、その間に人民解放軍が太平島の占拠を目指すかもしれないと警鐘を鳴らす専門家もいる」

 太平島は、南シナ海の南沙諸島北部に位置する南沙諸島最大0.51km2の小島で、台湾が実効支配している。かつては日本軍が潜水艇の基地を置いていたが、1945年の日本の撤退とともに、中華民国(台湾)の護衛艦「太平号」が乗り込んで実効支配したため、この名前が付いた。

 台湾では、高雄市旗津区中興里に属するが、高雄港からは約1600kmも離れている。一方、中国側は海南省三沙市に属すると主張し、近辺に人工島を張り巡らせて奪取の機会を窺ってきた。

 ともあれ、安倍前首相の動向から目が離せなくなってきた。

(近藤 大介)