OPECプラスは、今年5月から日量990万バレルの協調減産を開始し、7月からは減産の規模を日量770万バレルに縮小している。来年1月から協調減産の規模をさらに日量580万バレルに縮小する予定だったが、欧米で新型コロナウイルスの感染拡大が起きていることから、再検討を余儀なくされている。

 サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは10月28日、「足元の原油需要は弱すぎて、OPECプラスが来年1月から減産規模を縮小すると判断できないのではないか」との見方を示した。11月30日〜12月1日に会合を開くOPECプラスは、協調減産の規模を縮小するのではなく、逆に拡大することを検討しているようである(11月3日付ロイター)。

 米エネルギー省は11月3日、「OPECの今年の原油売却収入は昨年(5950億ドル)の約半分(3230億ドル)になる」との予測を明らかにした。原油売却収入が2002年以来の18年ぶりの低い水準となっているOPECにとって、原油価格のさらなる下落を防ぐためには協調減産の規模を再び拡大するしか手がないが、OPEC加盟国の財政は既に「火の車」となっている。

原油価格の下落圧力を強めるバイデン政権の政策

 米国の大統領選挙は激戦州の集票作業が続いているが、本コラムでは、次期大統領がバイデン氏となった場合の世界の原油市場や中東情勢に与える影響について考えてみたい。

 まず原油市場についてだが、バイデン氏の勝利は需給両面でマイナス材料である。

 今年前半、新型コロナウイルスのパンデミックにより、世界の原油需要は3割に相当する日量3000万バレルの需要が消失したが、足元の需要は日量約800万バレル減の水準にまで回復している。シェール企業の不振もあり、世界の原油市場の需給がようやくバランスする状況になりつつある中で、バイデン氏がトランプ大統領が脱退した「気候変動枠組条約」に復帰し環境政策を推進すれば、世界最大の原油需要を誇る米国の需要が再び減少する可能性が高い。

 供給面でも悪材料が目白押しである。