PayPal参入の狙いはどこに?

 2社が圧倒的なシェアを占める決済市場に、2021年1月、米国のオンライン決済サービス企業PayPalが本格的に乗り出しました。第三者決済のライセンスを保有する「国付宝」(gopay、https://www.gopay.com.cn/)を100%完全子会社化したのです(「PayPal becomes first foreign firm in China with full ownership of payments business」BUSINESS INSIDER、2021/1/14、https://www.businessinsider.com/paypal-becomes-first-foreign-firm-in-china-with-full-ownership-of-payments-business-2021-1)

 PayPalが中国に進出したのは2004年です。そして2011年、企業への融資を中心とする第三者決済企業として、「北京智融信達科技」が株式の70%を保有する形で、国付宝を設立しました。その国付宝を完全子会社化(PayPalの国際統括部門であるPayPalシンガポールが100%株主)したのです。これで、中国で初の外資系第三者決済企業が誕生したことになります。

 第三者決済ライセンス規定は2010年に定めらましたが、2018年から中国国内では徐々に外資系企業を対象にした金融や証券領域の開放が進んでいました。ただ、完全外資化は珍しい事例です。

 では、PayPalは今後どのような事業を中国市場で行うのでしょうか。

 PayPalの事業において重要な要素が、手数料です。金額や送金件数に左右されますが、3%前後の手数料が決済ごとに発生する利用体系です。この手数料がPayPalの売上の90%以上を占めていると見られます(Investopedia、https://www.investopedia.com/how-paypal-makes-money-5094794)

 ところが、アリババとテンセントの決済では手数料が基本的に発生しません。銀行への口座送金などの場合に0.1%ほどの手数料がかかる程度です。アリババとテンセントも、膨大なユーザー情報の分析とそこから派生する金融やデジタルサービスで利益を上げる、というビジネスモデルであり、手数料で稼ぐ必要がないからです。