PayPalが狙っているのは、「中国からの国外への送金市場でのシェアの獲得」ではないかと、筆者は推測しています。中国からの国外送金は徐々に規制緩和が進みつつありますが、1人につき5万米ドルという金額規制があるほか、銀行間の決済に時間がかかるなどの問題を抱えています。

 一方、海外への送金の需要は高まりつつあります。越境EC(商品が国をまたいで取引されるオンラインショッピング)の総額は、2016年には3兆元でしたが、2020年には倍近い6兆元に迫りつつあります。ただ、中国国内で海外商品を購入する個人や、中国で製造された電子製品を輸出する企業が、現状では国外送金規制の問題で苦労しています。

 PayPalは築き上げてきた国際送金ネットワークを、中国国内で浸透させることを目指しているのではないでしょうか。

TikTokのバイトダンスも参入

 2021年1月にはもう一つ大きなできごとがありました。バイトダンス(ByteDance、字節跳動)の参入です。

 動画共有サービスTikTok(抖音)を提供しているバイトダンスが、決済サービス(モバイルペイメント)「douyinpay(抖音支付)」の運用を始めました。

 バイトダンスにとっては、ライブストリーミング市場が成長する中で、第三者決済の必要性が高まりつつあったといえます。すでに同社は数年前に第三者決済ライセンスを保有する企業を買収しており、ようやく本格的に軌道に乗せたということです。

 従来バイトダンスは、Alipay、WeChat Pay、銀行カードでの支払いを受け付けていたのですが、独自のデジタル生態圏を構築しようとする戦略が読み取れます。同社は以前から少額貸し付けなどの機能を提供していましたが、今後は本格的にフィンテック領域への事業拡大を行うようです。