文在寅大統領の外交は、「アマチュア外交」だと評されている。要するに「戦略を立てて動くのではなく、先に動いて問題を起こし、後から解決しようとするやり方」だというのである。それは結局、何事も生んでこなかった。だが、文大統領から反省の弁を聞いたことはない。これからも、誰も信じない北朝鮮の意図を宣伝することで事態を動かそうという、これまでの悪弊を繰り返すのだろうか。

 韓国が米朝対話を望むのであれば、誰も信じない北朝鮮の非核化意思を米国に宣伝するのではなく、北朝鮮に対して「非核化しない限り米朝首脳会談はなく、制裁の緩和もない。非核化に応じない態度は北朝鮮をいっそう孤立させることになる」ということを理解させること以外にないはずなのだが・・・。

鄭義溶氏の外交部長官起用は朝鮮半島平和プロセス推進のため

 そこで注目されるのが、新たに外交部長官に起用された鄭義溶氏のスタンスや手腕だ。

 鄭長官は、2018年に金正恩委員長や当時のトランプ大統領とも実際に会い、米朝首脳会談実現の橋渡し役を果たしている。その時もトランプ大統領に「金正恩氏は非核化の意思がある」と伝えた。ひと言で言えば、文在統領の外交スタンスに忠実に沿って動いてきた。文大統領は、鄭氏にその役割を再現させたいのだ。

 一方、鄭長官のカウンターパートとなる米国の国務長官にはアントリー・ブリンケン元国務副長官が指名された。ブリンケン氏は議会の人事聴聞会で「対北朝鮮接近法の全面的な再検討」を行う意向を表明した。ブリンケン国務長官は、シンガポール合意は空虚な外交的惨事と認識しており、北朝鮮の非核化が先行しなければならないとの考えである。

 バイデン政権がそういうスタンスであれば、米韓首脳会談が現実しても、文在寅大統領が従来の主張をまともに展開すれば、バイデン大統領と衝突する可能性が高い。それは鄭長官とブリンケン国務長官との外相会談でも同様だろう。共に民主党関係者は「大統領は朝鮮半島問題や平和プロセスを再確認する首脳会談」にしたいというが、逆の結果となる可能性もある。