一方で文政権は、北朝鮮の反発があればお気に入りの長官でも首を切ったように、すぐに北朝鮮におもねろうとする。そうなればバランスの取れた仲介外交は不可能だ。鄭新長官は足かせをはめられて米国との仲介外交を行うことになろう。

北は兵力増強中なのに、米韓合同演習は今後も中断するのか

 米韓同盟を支えてきた、3つの主要な米韓合同演習は、シンガポールでの米朝首脳会談以降実施されていない。米韓同盟を支える在韓米軍の兵士は定期的に交代するため、毎年訓練を実施しなければ米韓連合軍の戦闘能力は低下する。トランプ政権は「コストがかかる」といって合同演習の実施に積極的ではなかったが、軍関係者の間で懸念は広がっていた。

 文大統領は年頭の記者会見で米韓合同演習の再開の可能性について「必要であれば、南北軍事共同委員会を通じて北朝鮮と協議できる」と述べた。金正恩委員長が朝鮮労働党大会で「米国との合同訓練を中止すべきだ」と主張したことへの回答である。文在寅大統領は、2018年の南北軍事合意の「軍事演習及び武力増強問題は『南北軍事共同委員会』を稼働して協議する」という内容を守るということなのだろう。

 しかし、北朝鮮はそれに反する行動を公然と行っている。北朝鮮は核ミサイル開発を続け、朝鮮労働党大会に合わせた軍事パレードでは韓国を標的とする新型兵器を数々登場させた。韓国は、「北朝鮮の核は韓国を向いていない」というが、北は戦術核を開発中であることを明らかにした。原子力潜水艦や極超音速兵器の開発についても公言している。

 こうした北朝鮮の行動に対し文在寅大統領は、北朝鮮の挑発について南北軍事共同委員会を通じて抗議するどころか「合意違反ではない」として北朝鮮を擁護している。これでどうやって韓国国民の生命と財産の安全を守ろうというのだろうか。