それだけではない。海軍航空隊のミサイル爆撃機や戦闘爆撃機にも超音速や亜音速の対艦ミサイルが装填されるのに加えて、DF-ZF極超音速対艦攻撃グライダーも実戦配備が近づいている。さらにロケット軍は、地上から空母や強襲揚陸艦を攻撃するための対艦弾道ミサイル(DF-21D、DF-26など)を運用しており、戦時において米空母艦隊は迂闊に東シナ海や南シナ海には近寄れない状況となってしまっている。

今になって回ってきた空母偏重のツケ

 アメリカ海軍首脳の主流派や連邦議会の国防関係議員などは、原子力空母戦力を自他ともに世界最強と認め、これまで過信しすぎてきた。そのため、海軍内部からの「対艦攻撃力を見直せ」という声に真剣に耳を傾けることはなかった。

 しかし、かつては取るに足りない戦力と見くびっていた中国海洋戦力は短期間で飛躍的に強化され、気がついた時には上記のように各種対艦攻撃力を身につけた極めて危険な存在に変貌していたのである。

 そこでアメリカ海軍は、遅ればせながらようやく対艦攻撃能力に予算を投入して、中国軍艦に装填されているYJ-18の射程圏外から攻撃が可能なLRASMの開発・調達に本腰を入れ始めたのだ。

 ただし対艦ミサイル技術で中国に大きく後れを取ってしまったアメリカが生み出すLRASMは依然として亜音速ミサイルであり、中国の最新鋭対艦攻撃兵器にアメリカが追いつくには、たとえ莫大な予算を投入しても数年間にわたる開発努力が必要と考えられている。

(北村 淳)