日本政府が示した異例の見解

 しかし、今回、ラムザイヤ―論文に対する抗議運動が起きると、日本や韓国、さらに米国の学者や専門家の一部がそうした抗議運動に反対する声をあげた。彼らは、同論文の内容は正しく、その誌上掲載を阻むことは学問の自由や表現の自由の侵害だとする声明を発表した。

 さらに特筆すべきは、日本政府からも、論文への抗議運動を批判する見解が出されたことである。

 3月22日、参議院の文教科学委員会の審議で有村治子議員(自民党)がラムザイヤ―論文をめぐる論争について提起し、日本政府の見解を問うた。まず、日本の国会で、慰安婦問題に関する一論文の扱いが正面から議論されることはこれまでにはなく、注視に値する。

 有村議員の発言と質問は、以下のような内容だった。

「昨年12月にハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授が戦時中の慰安婦に関する学術論文、太平洋戦争における性サービスの契約を発表されました。学識者による査読も経たこの論文において、教授は、戦地の慰安施設という心身共に過酷でリスクの高い場所にあって、慰安所事業主が女性を取り巻く各利害関係者など、どのような契約を結ぶことが合理的で信頼できると、それぞれのステークホルダーが考えて行動したのか、法経済学的なアプローチでの解明を図っておられます。この論文発表後、米国や日本、韓国においても様々な反応が出ています。どのようなことが起こっていますか」

 この質問に対して「政府参考人」の石月英雄氏が答えた。石月氏は本来、外務官僚だが、もちろん日本政府の代表としての公式の答弁である。