世の東西を問わない幼児虐待の悲劇

 これについてはネット上ではさまざまな臆測が飛び交っている。「キム氏は代理母として子供を産んだから、自分の子供をこっそり誰かに渡したのでは?」「不妊のキム氏はソク氏の卵子提供で産んだのかも。だから子供はひとりしかいない」「ソク氏がキム氏の子供をすり替えて、こっそり海外へ養子に出したのかも」。

 第五に、ソク氏が望まない妊娠をしたとしたら、なぜ人工妊娠中絶をしなかったのか。これまでの状況から考えて、ソク氏が胎児の生存権や人権を理由に中絶しなかったとは考えられない。また出産後、人知れず養子に出すこともできたのに、なぜわざわざ娘の子供とすり替えたのか。

 謎だらけのこの事件だが、本質は幼児の虐待、餓死事件である。かわいい子供にどうしてそんなに残忍なことができるのだろうか、実に疑問だ。日本でも2020年、知人からマインドコントロールを受けた母親が5歳の翔士郎(しょうじろう)ちゃんを餓死させた事件、知人の男性に会うために3歳の稀華(のあ)ちゃんを8日間も自宅に放置して餓死させた事件など、悲しい事件が次々と起きている。

 幼児が犠牲になる悲惨な事件は、国を問わず起こりえる。しかし、今回韓国で起きたこの事件ほど不可解な事件はあるだろうか。

 真相が解明されるのかは分からない。ある弁護士は「最悪の場合、現在まで明かされた内容により未成年者略取罪容疑でソク氏が起訴され、行方不明の子供については追加捜査となり、事件は迷宮入りしてしまうおそれもある」という。これだけの疑問を残したまま捜査が打ち切りになったら、このもやもや感をどうすればいいのか。

(金光 英実)