払っても払っても終わらない訴訟

 2件目の裁判でも日本政府は無対応の原則を固守し、被告側代理人がいない欠席裁判が進行した。最大の争点は、やはり「日本政府に国家免除を適用できるかどうか」だ。 国家免除は「国内の裁判所は外国の国家に対する訴訟に関して裁判できない」という国際法上の原則である。主権国家間では裁判権を行使できず、外交などの方式で解決するという趣旨であり、同原則が適用される案件では、裁判所は審理を行わずに棄却できる。

 慰安婦側の弁護人団は、日本の国家免除はありえないという立場だ。弁護団は「国際慣習法上、裁判を受ける権利と国家免除が衝突する場合、双方を比較して個別に判断しなければならない」と主張し、「国際人権条約などの精神を考慮すると、今回の事件は国家免除の例外を認めなければならない」として、日本の賠償責任を追及した。

  2015年の日韓慰安婦合意で、日本政府が支給した10億円を元従軍慰安婦の一部が受領したことについては、「2015年の合意は、政治的合意に過ぎない。法的拘束力はなく、被害者の賠償請求権は消滅しない」と主張している。

 韓国政府は2015年12月28日に日本政府と交わした「慰安婦合意」に基づき、日本政府が支出した10億円(約108億ウォン)を被害者の名誉と尊厳の回復、心の傷の治癒に向けた事業に使うため「和解・癒し財団」を設立、生存していた元慰安婦47人のうち34人と死亡者199人のうち58人の遺族に合わせて44億ウォンを支給した。

 一方、一部の元慰安婦は「日本の真の謝罪がない」と合意の破棄を求めた。文大統領は2018年9月25日、米ニューヨークで行われた日韓首脳会談で、当時の安倍首相に「慰安婦被害者や国民の反対で和解・癒し財団は正常に機能せず、枯死せざるをえない状況」と話し、慰安婦合意で設立した財団を解散させる方針を通告した。

 元慰安婦に対する支払いについては、2014年2月、毎日新聞がアジア女性基金の専務理事を務めた和田春樹東京大学名誉教授の話を引用して報道した。これにより、日本政府が慰安婦問題を解決するため、民間募金を母体とするアジア女性基金事業を通して、1995年に韓国人元慰安婦被害者207人の28.9%に該当する60人が基金を受領したことが明らかになった。

 この時、日本政府は被害者1人当たり200万円(約2083万ウォン)の慰労金を医療福祉支援金や首相の謝罪手紙などと共に送った。もっとも、 河野洋平官房長官(当時)の謝罪や強制動員認定に対して反省の意を示したにもかかわらず、韓国では「法的な責任を避けるための日本政府の手段にすぎない」という元慰安婦や関連団体などの批判と合わせて受領拒否運動が起きた。「金を受け取った」という指摘についても、「多くの被害者が慰労金を受け取っていない」という論理を展開した。

 それだけではない。韓国では法的に「日帝下の日本軍慰安婦被害者に対する生活安定資金及び記念事業などに関する法律(慰安婦被害者法)」を制定し、生活支援や住居安定と名誉回復事業を施行している。これに関連し、韓国女性家族部は旧日本軍慰安婦の生存者と家族のための日本軍慰安婦被害者生活安定支援事業の名目で、月147万ウォンの生活費と看病費、家庭介護費、健康治療費、葬儀費などを支給している。 他にも慰安婦生存者たちは正義連などの民間団体が運営する療養施設で生活や住居支援を受けている。