・韓国の歴代政権は、程度の差こそあれ、みな北朝鮮からの難民や亡命者を寛大に助けてきた。この動きは、3万3000人の戦死者を出しながら韓国の独立と自由を守った米国にとっても重大な関心事である。ところが2019年11月、韓国の文在寅政権は韓国に保護を求めた北朝鮮漁師2人を本国に強制送還して米国に衝撃を与えた。

・2020年には、中国領内に拘束されていた北朝鮮のキリスト教徒の女性3人が韓国への亡命を要請していたが、韓国政府は彼女たちの身柄引き渡しを中国に要求せず放置した。その結果、彼女たちは中国領内で中国男性たちに人身売買の形で引き渡されてしまった。似た立場にある中国領内の北朝鮮からの出国者たちは、文政権の態度に絶望を深めている。

・文政権のこうした措置について「北朝鮮民主化委員会」代表は、「文政権は南北融和策をとり、北朝鮮の意向を汲んで、韓国領内の脱北者たちを弾圧し始めた。その結果、脱北者にとって韓国はきわめて危険な国になった。北朝鮮国民にとって韓国に脱出した者は希望の星だったが、その存在が抹殺されつつある」と悲痛な抗議を述べている。

・文大統領は、自分の母親が朝鮮戦争勃発時の1950年に北朝鮮領内で身動きがとれなくなったところを米軍将兵に救出された歴史を想起すべきだ。その救出がなければ、文氏はおそらく北朝鮮領内で生まれ、北朝鮮の国民になっていた。文氏は北朝鮮からの脱出者たちに同情を示すべきである。

 ショルテ氏は以上のように証言し、文在寅政権への全面的な非難をためらわなかった。米国の専門家たちのこうした態度は日本の対韓政策にも一種の教訓となるだろう。

(古森 義久)