軍事力を飛躍的に増強してきた中国軍の太平洋正面での現在から近未来の軍事戦略は、A2/AD(接近阻止/領域拒否)と呼ばれる。

 第1列島線である日本の九州〜南西諸島〜台湾〜フィリピンなど(南シナ海の取り囲む国々)で米軍の侵入を阻止すること、第2列島線である伊豆諸島〜小笠原諸島〜グアム〜パラオの線の以西(内側)で、米軍の行動を妨害することである。

 10〜30年後、中国軍がさらに増強され、西太平洋において中国が攻勢に出て、日米が防勢することになり、第1列島線である日本列島〜南西諸島〜台湾が中国軍に占拠されてしまえば、第2列島線と呼称される線は、北太平洋上のまばらに存在する小さな点(島)を結ぶ線にすぎないものとなってしまう。

 北太平洋での中国軍の東進を阻止することは地形的に見て難しい。戦力を展開できる拠点として使えるのは、ハワイとグアムだけだ。

 つまり、北太平洋正面では、第1列島線が中国に占拠されてしまえば、中国軍の東進を阻止する国土地形がないために、中国海軍艦艇は、米国の西海岸まで容易に達することになる。

 中国から米国本土への予想される主な3つの接近経路は、下図のとおりである。

 日本や台湾が中国の太平洋進出を止めているから、米国は安心していられる。

 日本や台湾が中国に占拠されてその勢力圏内に入ってしまえば、中国軍は、北太平洋のど真ん中にあるハワイ、それを越えて、東太平洋、米国西海岸沖を自由に遊弋することになるであろう。

 これまで、日米は、中国軍を南西諸島と中国本土の中間線よりも中国側に抑え込んでいるが、もし米国が要塞の役割を果たしている日本や台湾を守らなかったら、中国を東シナ海の範囲に抑え込めず、中国の脅威は自国の近くまで迫ってくるということだ。

 つまり、グローバルな観点で領域を守るための中心的な本城と多数の支城と考えると、米国は本城であり、日本や台湾は最前線の支城(要塞)である。

 本城と支城の関係となる米国・日本・台湾は運命共同体といってよい。