中国軍の軍事戦略は、実際の実力に基づくものなのか、あるいは理論・願望の段階なのかを評価しておかなければならない。

 戦闘機や空母など特徴的で近代的な兵器を必要な数量保有してさえいれば、「軍事戦略を遂行できる」とは言い切れないからだ。今回は、中国空軍に焦点を当てて考察する。

 中国空軍機は、日本への接近飛行、台湾への威嚇飛行、南シナ海でのプレゼンス飛行を行っている。

 空軍機の行動空域での行動の狙いと戦闘能力レベル(日米軍と互角に戦えるレベルにあるのか)を評価するにあたっては、中国空軍機の実際の飛行行動の詳細を分析することが重要だ。

 そこで、限られた情報であっても、実際の行動から現実的な軍の実力を評価する必要がある。

 中国が日米と対峙するのは、日本周辺であり、この空域で行動する内容は、中国空軍の狙い、より実戦的で現実的な行動を現わしているものと推測される。

 これらの日本周辺での行動を分析すれば、中国空軍の実力、つまり、行動の狙いと戦闘能力レベルを明らかにすることができると考える。

 日本周辺での飛行(一部台湾正面)について、主に自衛隊統合幕僚監部が、2007年から2021年5月まで公表している中国軍用機の行動105回分のデータを使用する。

 日本に接近してくる中国空軍機の機種・機数、経年変化、さらに性能諸元、および軍用機の機種と航跡などとから、特色ある行動パターンを列挙する。そして、戦闘能力および飛行行動の狙いについて考察する。

1.中国空軍機の接近飛行の変化

 近年、中国空軍機は、実力を備えてきたためか、日本周辺に頻繁に接近しその回数が増加している。

 どんな空軍機が何年頃に飛行し、いつ活発だったのか。中国空軍機の接近は、単機も複数機種の場合も1回で算定し、合計105回である。狙いを分析するために、機種ごとに分けて算定すると合計167回である。

 多用途機(中国海洋局所属)、電子戦機を合わせた情報収集機などの活動回数(2010年からであり、2021年まで)は、合計98回であり最も多く、全体の半数に近い。

 つまり、中国軍用機の日本への接近の主な目的は、日本の情報を入手するとともに、日本への軍事的揺さぶりやプレゼンスを示していると言える。

中国空軍機の日本への接近回数(機種別・年別)