米外交にとって致命的

 実はドナルド・トランラプ政権時代、国務省は雇用の凍結、予算の削減、さらに職員の空席などに直面したことで、省内からは「外交を満足に行う能力が損なわれる事態」といった声まで聞かれるほど弱体化しているというのだ。

 アントニー・ブリンケン国務長官は米雑誌「ザ・ニューヨーカー」で、外交官の離職が国務省に大きなダメージを与えていると、次のように洞見している。

「(米国は)数年だけでなく、何世代にわたっていくつもの罰を受けることになる。国務省がより強固にならなければ、外交によって回避できたかもしれない紛争や戦争に巻き込まれる可能性がある」

 そうかといって、慌てて不適任な人材を指名することも避けなければならず、ワシントンではいま改めて人事の重要性が確認されている。

 政権内では他の重要なポジションもいまだに決まっていない。コロナ禍にあって、最重要職ともいえる食品医薬品局(FDA)の長官職が好例だ。

 もちろん半年もの間、同局トップが不在だと業務が停滞してしまうので、同職を含めて、政治任命者の多くはいま代行者が職務を行っている。

 現在、FDA長官の代行を務めているのは、医療品評価研究センター(CDER)の所長だったジャネット・ウッドコック氏という人物である。

 だが6月、政権与党である民主党議員が同代行に苦情を申し立てた。ジョー・マンチン上院議員の異議はこうだ。

 アルツハイマー型認知症の治療薬の承認をめぐり、専門家から疑問の声が上がっていたにもかかわらず、ウッドコック氏が同薬を認可してしまったというのだ。

 それにより、同氏の判断力に疑問符がつけられた。同じ民主党内からこうした批判が出たことに限らず、「代行だから」といった理由が語られるようになっている。