「鶏娃」(いくつもの習い事や塾を掛け持ちさせられ疲弊する子供)や「内巻」(学校など閉ざされた世界で否応なく競争に巻き込まれる状況)といった言葉で表現される青少年へのプレッシャーや、就学前児童向け教育・校外教育の家計への重すぎる負担を軽減し、保護者の間で激しい競争意識を生んでいる状況を解消し、勉強の場を学校に回帰させよう、ということだ。

 確かに受験競争を苦にした青少年の自殺や、教育費の重すぎる負担による保護者の自殺といった事件が起きている。また、競争のプレッシャーに耐えかね、努力の押し付けに反発する若者の間で、「躺平主義(寝そべり主義)」「喪文化」といった、無気力カルチャーも蔓延している。

 一人っ子政策が大幅に緩和され三人目まで生んでよい社会になっても、多くの夫婦が依然として一人しか生まない、あるいは子供を産まないと主張する理由は、教育費負担があまりに大きいからだ。

 だが、「双減」は本当にそういった問題解決のためだけの政策だろうか。

二度と投資先になり得ない教育サービス産業

「双減」政策の中身を見てみると、教育産業を資本と分断し、教育の本質に回帰させるもので、公立学校と校外教育(学習塾)の関係性を新たに定義し直し、教育の社会公共性と市場性のバランスを再構築するものだという。

 具体的には、幼児から高校までの学習段階で、学科の学習塾から趣味のお稽古ごとに至るまで、あらゆる教育において、認可基準、業務時間、資本運用などに詳細なルールが設けられることになった。

「双減」の通達部分で重要なのは、まず、学科類(数学や語学など学校で教える授業科目)に関わる教育サービス企業・学習塾は一律に上場が禁じられたこと。また、上場企業は株式市場を通じて学科類に関わる教育サービス企業・学習塾に投資することはできない。外資の教育産業の買収や経営受託、株式取得を通じた経営参与も禁じられる。外資のフランチャイズチェーンへの加盟も禁止。規約に違反している教育サービス企業・学習塾は整理される。