韓国では、プロ野球は、若者の間で人気が高いスポーツだ。スタバもそうだ。これからの消費を主導する若者をつかもうという狙いだ。

 プロ野球の球場は米国型の「ボールパーク」に変えて、家族連れで一日楽しめる空間を提供する。スタバとの連携も十分可能だ。

スタバをもっと取り込みたい!

 スタバに対しても経営の裁量を拡大したいという意向があったとみられる。もちろん、スタバの利益をもっと取り込みたいという狙いもあったはずだ。

「新世界ユニバース」をいうコンセプトで、オフライン、オンラインともに幅広いサービスを提供してブランド価値を高め、若者を中心とした消費者をつかみたい。

 その気持ちは十分理解できる。

 だが、今後、成長シナリオを実現させられるのかは、未知数だ。

 ある財閥社長は「コンセプトと危機感は十分理解できる。それでも4兆ウォンというのは、どう回収するのか。プロ野球、イーベイ、スタバ…さらにホテルもと言われると、どういうシナジーがあるのか、お手並み拝見と言うしかない」と話す。

 では、直近のスタバのディールはどう見るか。

 スタバ本社から見れば、韓国は世界5番目の大きな市場だ。韓国メディアによると、2019年に400億ウォン、2020年に600億ウォンの配当を得るなど、優良子会社だった。

 世界の主要の子会社の株をすべて手放すのは初めてで、例外的なのか、これからもケースバイケースであり得るのか注目も集まる。

 今回の資金を、さらに成長が見込める中国事業などに投資するとの見方もある。

 スタバから見れば、今後もブランド使用料やコーヒーの販売などの収入は続く。息の合った合弁相手が韓国事業をこれまで通り成長させてくれるのならば、持ち株にこだわる理由もないのかもしれない。

 韓国メディアは、新世界とGCIはスタバの韓国法人の上場も検討中とも報じている。

 韓国の財閥はオーナーの強力なリーダーシップで果敢な投資をして危機を突破して成長戦略を描いた――かつて、サムスンや現代自動車、SKグループなどの成長をこう説明することが多かった。

 一方で、2000年以降はオーナーの無理な決断で屋台骨が揺らいでしまった財閥も少なくない。

 業界を取り巻く環境が激変する中で、慎重で保守的な社風だった新世界が大胆な勝負に出ている。

(玉置 直司)