9月6日、タリバンがアフガニスタンの全土制圧を発表した。

 2001年以来、米国がアフガニスタンにおいて目指してきたのは、未来にわたってテロの温床に戻ることがない民主的政府の確立であったが、これは結局実を結ばなかった。

 ジョー・バイデン大統領は、この撤退によって米国が中国との競争という新たな脅威に立ち向かう準備を整えることができると主張している。

 一方、同大統領は、3月に行われた就任後初の記者会見において、中国との競争は「21世紀における民主主義国の有効性を賭けた専制主義国との闘いである」と宣言していた。

「それにもかかわらず、中国との競争のために、アフガニスタンにおける民主主義の後退を甘受するというのは、矛盾してはいないか?」

「いや、そもそも国際政治においては現実主義的に自国に有利な態勢を築いていくことが本道であり、『民主主義vs専制主義』という旗印があまりにも理想主義的だったのではないか?」

 これらの声に代表されるように、アフガニスタンからの撤退をきっかけに、バイデン大統領が外交にあたって「民主主義」を強調することへの疑問の声も上がっている。

 12月には、同大統領が主宰して民主主義国のリーダーを集めた「民主主義サミット」がオンライン形式で開催されることも決まっているが、日本としてこれにどのように対応していったらよいのであろうか。

対中外交と「民主主義」

 日本国内の論者の中には、東南アジアの国々を考えた場合、民主主義という価値観で線を引くことはかえって連携のハードルを上げ、ともすれば中国側に押しやってしまうことも考えらえるので、これを前面に出すべきではないとの声もある。

 一見もっともな意見であるようにも聞こえるが、ことはそう単純ではない。

 中国に対する上で、バイデン大統領が掲げる「民主主義vs専制主義」という構図は、日本にとっても大きな意味がある。