1年半にわたるコロナ禍もあり、北朝鮮では犯罪が横行している。中でも代表的なのが、債権債務に伴う暴力犯罪だ。カネを貸した債権者がコロナ禍で生計が苦しくなり、元金の早期弁済を求めて暴力に訴えるケースが増えているのだ。双方ともに法的な解決を望んでも、債権者も債務者もコロナ禍の状況で円満解決できない。そこで、登場したのが北朝鮮の解決師たちだ。彼らはどのように紛争を解決するのだろうか。

(過去分は以下をご覧ください)
◎「北朝鮮25時」(https://jbpress.ismedia.jp/search?fulltext=%E9%83%AD+%E6%96%87%E5%AE%8C%EF%BC%9A)

(郭 文完:大韓フィルム映画製作社代表)

 2021年5月上旬、平壌の検察に1件の告訴状が届けられた。チョン氏という人物が、2019年にシン氏に貸した20万ドルの返済を求めるという内容の訴状だった。

 そして、検察が債権者のチョン氏と債務者のシン氏の2人を呼んで調査したところ、チョン氏がシン氏にカネを貸したわけではなく、砂金を採取し、中国に輸出するというシン氏の投資話にチョン氏が出資したという話だった。

 もともとは砂金の中国輸出で生じる収益の50%をチョン氏にシェアするという話だったが、新型コロナの影響で中国への輸出ができず、チョン氏に対するリターンが滞ったのだ。

 裁判所はチョン氏にコロナ禍が終息するまで待つように勧めたが、「今の生活が苦しく、投資金の半分だけでも受け取りたい」とチョン氏は要求した。

 最終的に事件は棚上げとなり、コロナ禍が収束してから再び話し合うことで決着した。ただ、裁判所の判決後、債務者であるシン氏がチョン氏に「法で争ったらだめだ。あなたの失敗だよ」と言い放ったことで、チョン氏の怒りに火がついた。「法より拳」という言葉が頭によぎったチョン氏は「解決師」として知られるパク氏に解決を依頼した。