2020年5月28日、全国人民代表大会閉幕後の記者会見で、李克強首相は「中国人民の年間の可処分所得は平均3万元(45万円)だが、平均月収が1000元(1万5000円)前後の中低所得層が6億人いる」と発言し、改めて中国の経済格差の実態を鮮明にした。

地方政府が貧困層を「撲滅」できたカラクリ

 一方、習近平は、2020年を「小康社会(ややゆとりある社会)」を実現するために、2020年のGDPを2010年の2倍に増やす数値目標を掲げて、1人当たり年収2300元未満の絶対貧困人口をゼロにすると宣言した。

 そして今年2月25日、習近平は北京市で開催された「脱貧困」式典で重要講話を行い、「脱貧困キャンペーン」に全面的な勝利を収めたと高らかに宣言した。曰く、「農村の貧困人口の9899万人が全て貧困から脱却した」「832県・12万8000村の貧困県と貧困村が、全て貧国リストから外され、地域的貧困と絶対的貧困が撲滅された」。そして、習近平が共産党トップに就任した2012年の中国共産党第18回党大会以後、年平均1000万人余りが貧困から脱却して「歴史的な奇跡」を遂げたと豪語し、「共同富裕」を今後の目標に掲げた。

 だが、どうやって? 昨夏には大豪雨があり、全国の3分の1が大洪水に見舞われた。家や農作地を失った被災者が4500万人以上にのぼり、流民になった人も少なくない。それなのに、僅か1年で、どうやって6億人の中低所得層の収入を増大させ、貧困層を撲滅できたのか。そこには地方政府のカラクリがある。