習近平は、共産党総書記や国家主席を続投するのに留まらず、もう一段高みを目指しているだろう。それは毛沢東の地位だった党中央委員会主席(党主席)の復活だ。しかも、死んだ後も永遠に崇められる「神」の存在になることだ。すでに『毛語録』に倣って編纂した『習語録』は、7000万人以上いる中国共産党員の必読書なった。今年から、小学校の教科書に「習おじさん」の愛称が登場するようになった。「神格化」へ向けたシナリオは、着々と進んでいるのである。

狙うは世界の支配権

 今、習近平が掲げる「2025年経済開発計画」は、中央集権体制を最先端技術で補完するものだ。高度なAIシステムやロボットなどの最先端技術を駆使し、数億台の監視カメラで国民の行動を監視する。暗号資産(仮想通貨)を排除し、中国人民銀行(中央銀行)がデジタル人民元を発行して、金融を一元管理する。経済のデジタル化とAIシステムによって得られるビッグデータは、強固な国家形成の基盤になると同時に、世界で中国が支配的地位を確立する大構想を実現するための重要な要素だ。

 米国のエコノミストによれば、中国の不動産・建設業はGDPの2割を占めるが、近年の成長率の実に4割を担っており、これが崩壊すれば、今年8%と予想されている中国のGDPを3〜4%引き下げ、世界経済に多大な影響を与えることになる、と予測する。リーマン・ショックの再来ほどではないが、2022年の波乱要因になるはずだ、とも言う。

 世界が金融市場に目を奪われている間にも、中国では、習近平の「神格化」が進み、強権体制が着実に構築されつつある。世界の支配権を握ろうと野望を抱く中国の外交戦略に、もっと留意すべきではないか。

(譚 璐美)