ミャンマー情勢が風雲急を告げている。インド国境に位置する西部チン州で10月29日から軍が軍事作戦を開始、武装市民組織「国民防衛隊(PDF)」や少数民族武装勢力に対して銃撃や砲撃を加え、さらに兵士による民家放火などが伝えられ、米政府がミャンマー国軍を非難する事態となっている。

 ミャンマー情勢を巡っては10月26日から28日かけてオンラインで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議、日米中豪なども参加した東アジアサミットなどの一連の会議でも「軍による武力行使の停止」「平和的事態打開の模索」「アウン・サン・スー・チーさんら民主政府関係者の釈放」などが協議された。

 ミャンマーは当初、同会議に軍政トップのミン・アウン・フライン国軍総司令官が「首脳格」として出席することを考えていたが、これがASEAN側から拒否されたため、首脳会議を欠席して抗議の意を示した。これに対し、「内政不干渉」「全会一致」を原則とするASEANとしては「(加盟国10カ国のうち)マイナス1の状況にあるがこれはASEANのせいではなくミャンマーのせいだ」(ASEAN首脳会議に出席したカンボジアのフン・セン首相)とミャンマー側を批判する会議となった。

教会炎上、孤児院が取り残され孤立

 反軍政のメディア「ミャンマー・ナウ」や「イラワディ」、「ミッズィマ」、「キッティッ・メディア」などが相次いで伝えたところによると、10月29日午前10時ごろ、無人状態となっていた西部チン州タンタラン郡区で商店に侵入して略奪をしようとした兵士に対して、地元少数民族武装勢力である「チンランド防衛隊(CDF)」が発砲して殺害、これに軍側が大規模な報復を始めた。

 その中で軍は銃撃に加えて砲撃を開始、同時に民家への放火を始めたという。同日午後8時頃にはタンタラン郡区の複数の場所から火炎が上がっていることが確認され、その数は100戸以上、一部報道では160戸以上とされている。

 大半の民家では住民がすでに郊外に避難していたものの、チン人権機関(CHRO)は町の中にある孤児院には子供約20人と教師が取り残された状態で安否が気遣われていると指摘している。