(北村 淳:軍事社会学者)

 トランプ前大統領は、防空ミサイルシステムや戦闘機、潜水艦関連技術などを含む強力な兵器システムを台湾へ輸出することを許可した。それは台湾を軍事的に支援する「親台・反中姿勢」の露骨な表明であった。

 トランプ大統領に取って代わったバイデン大統領は、かねてより公私にわたって中国との密接なつながりを指摘されていた。そのためオバマ政権時代のように中国と妥協する方針に一気に逆戻りすると、対中強硬派の猛反発を食らいかねない。そこで、これまでのところは台湾を軍事的に支援する姿勢を示している。

 ただしバイデン大統領が「中国による台湾侵攻といった事態が生起したならば、アメリカは断固たる対抗策を取る」といった趣旨の発言をしたところ、バイデン政権内部からは、あわてて「米政府としては、これまで歴代米政権がともかくも容認してきた『一つの中国』の原則から逸脱する意志はない」と、大統領の“失言”をフォローするコメントが発せられた。

 そのため対中強硬派などからは、「バイデン大統領の発言の真意は何だったのか?」「そもそも大統領は台湾問題を正しく理解しているのか?」といった批判が噴出しており、バイデン政権がこれまで示してきた親台反中的姿勢は予想通り一定期間のポーズにすぎないであろう、と不信が持たれている。