複数の米国務省職員が所有する米アップル製スマホ「iPhone」がハッキング攻撃を受けていたことが分かったと、ロイターや米ウォール・ストリート・ジャーナルが12月3日に報じた。

米政府関係者への攻撃は初

 イスラエルのNSOグループが開発・販売しているスパイウエア 「Pegasus(ペガサス)」を使った攻撃とみられており、被害に遭ったのはアフリカ東部ウガンダで勤務する米国務省職員など。一部は米国籍の外交官で、現地人の大使館職員も含まれると関係者は話している。ロイターは少なくとも9人が標的になったと報じている。ウォール・ストリート・ジャーナルはアップルがこれらの攻撃を検知し、標的となった11人に通知したと報じている。

 いずれにしてもNSOグループの技術を使って米政府関係者のモバイル端末に不正侵入した事例が確認されたのは初めてとみられている。

 NSOグループのスパイウエアは、ジャーナリストや人権活動家、反体制派、政府関係者、大使館職員、ビジネス・学術関係者などを標的に悪用されてきたと指摘されている。2018年にトルコで殺害された、ワシントン・ポスト紙コラムニストのサウジアラビア人記者、ジャマル・カショギ氏の周辺人物も標的になったとみられている。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、フランスの人権派弁護士や活動家、インドのジャーナリスト、ルワンダ人活動家のiPhoneからもNSOのスパイウエアが見つかったと報告している。

 各国メディアの調査報道チームは21年7月、NSOグループが外国政府などに販売したスパイウエアによって、ジャーナリストや政治家などが標的になったと報じていた。また、米商務省は21年11月、NSOグループを輸出管理規則(EAR)に基づくエンティティー・リスト(EL)に追加。同社への米国製品や技術の輸出などを「原則不許可(presumption of denial)」とした。