1.米国主導の反中姿勢に追随しない各国

 米中対立は依然として厳しい状況が続いている。

 米国政府は北京五輪の外交的ボイコット、民主主義サミット開催などにより、中国との対決姿勢を強めている。

 最近では有名な女子テニス選手のスキャンダルが話題になっているが、基本的な対立の火種は、新疆ウイグル自治区と香港の人権問題や台湾問題を巡る批判がベースにある。

 これらの人権問題などについては欧州諸国も米国と同様に中国に対して批判的な立場にある。

 しかし、北京五輪の外交的ボイコットに同調した国は英国、カナダ、豪州3国にとどまっている。

 ニュージーランドも閣僚を派遣しないと発表したが、これは外交的ボイコットではなく、コロナ対策が理由であると説明した。

 これまで西側諸国が中国の人権問題を批判する際には、米欧の歩調が揃うことが多かったが、今回は様子が異なる。

 民主主義サミットについても、参加国として選ばれた国と選ばれなかった国を分けた基準に対する不透明性が指摘されているほか、議事は非公開、共同声明も発表しないなど、民主主義を世界に向かって訴える場としてはその運営の仕方が不適切であると指摘されている。

 こうした米国の対中強硬姿勢を示すためのパフォーマンスに追随しない各国の動きが目立ち始めている。それにはいくつかの要因が考えられる。

 第1に、EU、日本、韓国、ASEAN(東南アジア諸国連合)など多くの国にとって中国は経済面で米国と並ぶ重要なパートナーであり、現実問題としてどちらか片方を選ぶことができないこと。

 第2に、北京五輪の外交的ボイコットにせよ、民主主義サミット開催にせよ、米国バイデン政権の最大の目的は中国国内の人権問題改善への働きかけではなく、2022年秋の中間選挙に向けた米国民向け反中パフォーマンスであると見られていること。

 第3に、本年夏場に相次いで生じたアフガニスタン撤退作戦と豪州への原子力潜水艦技術供与をめぐり米国とEUの間に溝ができ、欧州諸国が米国と一定の距離をとろうとしていることなどが考えられる。