深刻な食糧危機下でもミサイル実験のわけ

 1月1日の朝鮮中央通信によると、金正恩総書記は朝鮮労働党中央委員会総会(2021年12月27日から31日に開催)会期中に示した「2022年の党と国家の活動方針」で、軍事力強化続行の意向を再確認した。

「不安定化する朝鮮半島の軍事的環境と国際情勢の流れは国家の防衛力強化を少しも遅らせることなく、さらに注力して推進することを要求している」

 北朝鮮は2021年9〜10月に新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)など多様なミサイル実験を実施した。

 今後もこれら「先端兵器システムを連続的に開発し、軍事力の先進性と現代性を誇示する」(朝鮮中央通信)というのだ。

 金正恩氏は2021年1月の朝鮮労働党大会で

①1万5000キロの射程内の標的を打撃する命中率を向上させ、核先制攻撃・報復打撃能力を高度化させる

②固体燃料を用いた大陸間横断ミサイル(ICBM)、潜水艦発射型核戦略兵器、軍事偵察衛星を開発・保有する

 と明言、9月以降、新型長距離巡航ミサイル、鉄道の発射台からの短距離弾道ミサイル、極超音速ミサイル、新型SLBMの発射実験を行った。

 その意味では公約を果たした。これからの1年もこの路線を続けるのだろうか。

 ミサイル開発を続けながら、ドナルド・トランプ時代に見せた金正恩氏の対米接近、対韓接触(ラポーシモ=Rapprochement)は諦めてしまったのか。

 今回の演説では、米国や韓国へのメッセージは一切ない。対米対話再開にも対韓接触にも消極的だ。