(北村 淳:軍事社会学者)

 ロシアによるウクライナ侵攻の危機、台湾を巡る米中対立の激化で2022年はスタートする。

 バイデン政権が舵を取るアメリカは、中国やロシアとの軍事的直接対決は不可能に近い状況に陥っている。そのため、中国に対してはオーストラリアや日本を、ロシアに対してはNATO諸国を、それぞれ“動員”して米軍戦力を再構築する時間稼ぎを図らねばならない。

 しかしながら、アメリカが中国やロシアに対抗するとともにイランをはじめとする中東方面や北朝鮮などにも睨みを利かせるだけの戦力を構築するにはかなりの時間が必要だ。トランプ政権期に打ち出された海軍力を中心とする米軍再建計画が実施されたとしても、5年ほどではとても目標は達成できない。ましてやバイデン政権はトランプの大軍拡路線を否定しているため、米軍戦力が中国やロシアをはじめとする仮想的勢力と対決できるようになるにはさら長い年月が必要となってしまった。

 もちろん、中国やロシアがのんびりと米軍戦力が再構築されるのを待ってくれる道理はない。現実には、中国はアメリカの数倍のスピードで海洋戦力や各種ミサイル戦力や無人機戦力、それに宇宙戦力などを増強し続けている。