日米共同訓練の進化と抑止力の実効性向上

 本稿では、陸上自衛隊と米海兵隊の共同訓練の一場面を取り上げた。

 このような訓練は同様に、海上自衛隊、航空自衛隊も米軍のカウンターパートを中心に、指揮所演習や実働演習、対潜特別訓練、戦闘機戦闘訓練など各種の訓練・演習を年数回行い、成果を積み上げている。

 これらの目的は、ひとえに日米両軍が、共同して作戦を実施する場合における相互連携要領を実行動により訓練し、日米の連携強化および共同対処能力を向上して、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化することに他ならない。

 そのような観点から、中国の侵略的行動を抑止する上で、日米共同訓練のあくなき進化を追求することが極めて重要である。

 令和4(2022)年度の在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の中で、自衛隊との共同訓練の機会増大などの目的で米軍の訓練移転費が増額されたことは適切な措置として評価され、さらなる強化が望まれる。

 他方、抑止力の実効性を高めるためには、

①敵の侵略を撃退するに十分な戦力を持つこと

②その戦力を使用する用意があること
③相手(敵)に対してこちらの決意を悟らせることが必要である。

 つまり、日米共同訓練によって日米の対処力を高めることが、抑止力を強化することにつながる。

 同時に、日米共同対処力の実態やそれを使用する用意と決意があるとの強いメッセージを中国に対して発することが肝要である。

 そのために政府・外務省は、内外に向け、可能な範囲で日米共同訓練をはじめ、豪・印・英など友好国との共同訓練の取組みを、戦略的視点に立って積極的に広報・衆知しなければならない。

 さらに、尖閣諸島を焦点とした南西地方有事は、台湾有事と同時に生起する可能性があることに鑑み、クアッド(Quad)やオーカス(AUKUS)を背景として、日米共同訓練を日米台共同訓練に拡大する3か国連携メカニズムの構築を目指す、大きな課題が残されているのである。

(樋口 譲次)