クーデターで民主政権から実権を奪取したミャンマーの軍政が、反軍政を唱える市民への強権弾圧を続けている。その実態の一部として、アウン・サン・スー・チーさん率いる民主政権時の与党「国民民主連盟(NLD)」の関係者約500人が拘束され、14人が拘束中に殺害されていたことがこのほど明らかになった。

 1月5日、反軍政の独立系メディア「ミッズィマ」が、NLD中央情報委員会による発表を伝えたところによれば、2021年2月1日のクーデター発生以降、最高顧問兼外相だったスー・チーNLD議長はじめ大統領のウィン・ミンNLD副議長ら合計649人のNLD関係者が軍政によって逮捕された。

 このうち146人はこれまでに釈放されたものの、逮捕拘留中などに14人が死亡、そして現在も489人が身柄を拘束され続けているという。拘束中のなかには92人の民主政権時代のNLD所属国会議員が含まれている。

 軍政は、NLDが圧勝した2020年11月実施の総選挙に「不正があった」として無効を主張し、いずれ実施するとしている総選挙へのNLDの参加を認めようとしていない。このためNLD関係者の逮捕という強権的弾圧により、同党を事実上壊滅に追い込む戦略を積極的に進めている。

関連組織関係者も軒並み拘束

 軍政はスー・チーさんによる民主政権を「真っ向から否定」することでミン・アウン・フライン国軍司令官をトップとする最高統治機関「国家統治評議会(SAC)」の権威を高める一方で、クーデター後に発足したNLD議員らで構成される「ミャンマー連邦議会代表委員会(CRPH)」関係者、さらに民主派勢力が2021年4月に発足させた「国家統一政府(NUG)」関係者ら、スー・チーさんにつながる反軍政の立場を明確にしている政治組織全てに関わる人々への弾圧を強めている。

 NLDなどによると、これまでに身柄を拘束されて尋問を受けている際に8人のNLD関係者が殺害され、5人が刑務所に収監中に死亡し、1人が釈放後に死亡と合計14人が犠牲となったとしている。いずれも治安当局者による拷問が死因とみられているが軍政側は拷問による死亡を一切否定している。