1.2021年9月:本来の極超音速を目指した

 2021年1月、金正恩委員長は、「極超音速滑空飛行前頭部を開発、導入する」と言及した。

 発射したミサイルを米日から撃墜されないために、中国やロシアが開発する極超音速滑空体(グライダー形)と同じものを製造したいという思いがあるのだろう。

 北は、2021年から「極超音速滑空体」の実験を開始したばかりだ。

 北は、2021年の9月28日に「火星8号」の名称を付け、発射実験を行い、発射して上昇するミサイルの写真を1枚だけ公開した。

「途中、分離された極超音速滑空体(HGV)の誘導機動性と滑空飛行の特性をはじめとする技術的データを確認した」「極超音速滑空体の燃料系統とエンジンの安定性を確認した」と発表した。

 だが、金正恩委員長の視察はなかった。

 北の発表だけを受け取っていると、滑空体の完成が近いのではないかと思い違いをしそうだ。

 韓国軍が確認したところによれば、飛翔距離は約200キロ、高度約30キロ、速度はマッハ3であったという。この時点ではまだ、完成に近いところまで達成はしていないようだ。

 2021年と2022年に発射した3つのミサイルとも、「自衛2021」兵器展示会に展示されたものだ。

 3つとも火星12号に類似の推進ロケット(全長は、火星12号よりも短くなっている)で、同じ「極超音速ミサイル」と呼称しているが、弾頭部の形状が2021年9月と2022年の実験では、大きく異なる。

 そこには、大きな意味・狙いがあるようだ。