韓国で「劇場版 呪術廻戦 0」の公開が大きな関心と期待を寄せている背景に、昨年、大成功を収めた映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の影響があることは間違いないだろう。反日不買を完全に終息させた映画である。

「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の放映権を取得したのは、SMGホールディングスという従業員十数人の小規模な映画会社だった。日本製品の不買運動の余波とコロナ禍の影響もあり、SMG社が期待したのは20万人から30万人程度の観客動員数で、最大でも50万人を超えることはないと見ていた。

 ところが、蓋を開けてみると人気は沸騰。旭日文様を巡る論争を呼び起こして「反日不買運動」の標的になったが、210万人の観客を動員し、ユン・ヨジョン主演の「ミナリ」(109万人)を抜き、2021年度の観客動員数で2位を記録した。

韓国の出版産業を救った日本漫画

 また、紙の書籍離れによって苦境に喘ぐ出版業界や書店業界にとって、日本漫画は文字通りの救世主になっている。日本関連の書籍は、2019年夏から広がった日本製品の不買運動で落ち込んだが、一時的な減少に過ぎなかった。日本のコンテンツから逃れられない韓国人の姿を浮き彫りにしたといっていいだろう。

「鬼滅の刃」シリーズは、オンライン書店「イエス24」で、2021年上半期の漫画ベストセラーの1位から25位までを独占した。その結果、上半期における漫画分野の販売額を前年同期比で30%も押し上げた。

 韓国最大の書店チェーン「教保文庫」の週間ベストセラーも同様だ。漫画『鬼滅の刃』最終巻は2021年3月の出版以降、1カ月以上連続して総合部門1位を記録した。教保文庫で漫画が総合1位になったのは、2014年の韓国作家ユン・テホ氏の「未生」以来、7年ぶりである。

 教保文庫の昨年上半期の漫画販売額は前年同期比61%増で、最多販売を記録した。中でも日本漫画は67%増である。 日本の漫画が韓国漫画出版産業を救ったというのは誇張でも何でもない。

 教保文庫が分析した「鬼滅の刃」の購入層は、20-30代が55.6%、女性が68.1%で、20-30代の若い世代と女性が「鬼滅の刃」に熱狂したことになる。