インドネシアが主要輸出品のひとつである石炭を巡って、輸入国である中国、日本、韓国、フィリピン、インド、そして国内の石炭採掘業者などを巻き込んで右へ左へと迷走を続けている。背景にはエネルギー政策の見通しの甘さ、石炭生産の現場の実情を政府が明確に把握していないなどのジョコ・ウィドド政権の不透明で不十分な政権運営があると指摘されている。

 2024年に次期大統領選挙を控えるインドネシア。すでに2期目の政権運営となっているジョコ・ウィドド大統領は再々選の出馬が規定上できないため、残る任期で大統領職を去ることが確定している。そのためか2期目の政権運営には「庶民派」としての自信に満ちた政策や鋭い決断力、国民目線などに欠け、どこか投げやり的感覚が目立っているとされる。

 そうした大統領の「やる気減退」に付け込むかのように複数の実力派閣僚があらゆる政策で大統領を差し置いて指導力や影響力を発揮する場面が増えている。

 今回の石炭を巡る全面的禁輸措置にもそうした政権の実情が色濃く反映されているとの見方が有力だ。

大統領が年頭に石炭禁輸を発表

 ジョコ・ウィドド大統領は1月1日、内外に向けて、石炭を全面的に輸出禁止とする措置を1月末まで実施することを発表した。インドネシアは年間約4億5000万トンの石炭を産出し、そのうち約70%を主に中国、日本、韓国、フィリピン、シンガポールなどに輸出する世界最大の石炭輸出国である。

 では、なぜ突然ともいえる禁輸措置がとられるようになったのか。それは、国内石炭業者が彼らに課せられている生産量の25%を国内需要に回すという「国内供給義務(DMO)」を果たさなかったことにより、国内の電力供給量に不足が生じ、大規模な停電が起きる可能性が生じたためだ。