反露・反中の環境政党と組むという劇薬

 ドイツで脱原発に強いこだわりを見せているのが、SPDと連立を組む環境政党、同盟90/緑の党(B90/Grünen)だ。脱原発を公約に支持を広げた経緯がある同党にとって、その撤回は受け入れ難い。共同代表の一人であるハーベック副首相兼経済相が気候政策を担当していることもあり、同党は今年末に定めた脱原発目標の実現に執着する。

 電力価格の高騰に伴い、ドイツでも脱原発の在り方を見直そうという世論が高まっている。ただ、そうした声に耳を傾けてしまうと、B90/Grünenは環境政党としての「レゾンデートル」を失うことになる。一方、クリーンな化石燃料である天然ガスをロシアから「ノルドストリーム2」を通じて購入することも、B90/Grünenには受け入れ難い。

 B90/Grünenのもう一人の共同代表であるベーアボック外相は、ロシアと中国に対する強硬論者として知られる。EUとロシア・中国との関係悪化は今に始まったことではないが、メルケル前政権期までのドイツは実利的な観点から中国やロシアとの関係を重視していた。しかしベーアボック外相は、そうした過去の外交方針との決別を図る。

 そのベーアボック外相は、膠着するウクライナ情勢の緊張緩和を目指し、1月17日にウクライナのゼレンスキー大統領らと、翌18日にロシアのラブロフ外相と続けて会談した。事務方の間では、フランスを含めた4カ国会合(ノルマンディーフォーマット)の常設化に向けた期待も高まるが、果たしてベーアボック外相が妥協に応じるだろうか。

 理想主義に燃えるB90/Grünenの存在は、ドイツにとって「劇薬」そのものだ。それを理解してSPDはB90/Grünenと連立を組んだわけだが、新政権が発足して1カ月足らずで当初から想定されていた「劇薬」の悪影響が徐々に出始めている。プラスの効果が出るとして、ドイツがそれまでの時間を耐えることができるかは大いに疑問だ。