ウクライナ侵攻とジュネーブ第4条約

 ウクライナにおけるロシア軍の残虐非道の行為が次々に明るみに出ている。

 特に、ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊「ブチャ」での市民の大量虐殺は目を覆うばかりだ。

 さらに、イルピン、ホストメリなどブチャ以外での残虐行為も報告されており、侵攻したウクライナの広範な地域で「ジェノサイド(民族大量虐殺あるいは集団殺害)」と指摘される人類最悪の行為が行われていると見られている。

 また、ロシア軍は、紛争地域において住民の拘束と強制移住、露語教育、通貨ルーブルの使用、メディア統制などの「ロシア化」を強制しており、その中には明白な国際法違反と認められる行為がある。

 武力紛争時または占領の場合における文民の保護に関しては、1949年ジュネーブ第4条約(文民保護条約)および1949年ジュネーブ条約第1追加議定書(以下、追加議定書)に詳細な規則が定められている。

 そこで、まず、追加議定書および文民保護条約から関連する条項を抜粋し確認することから始めてみよう。

文民たる住民を敵対行為の影響から保護する目的では、追加議定書に以下のような規定がある。

・軍事行動は軍事目標のみを対象とする「軍事目標主義」の基本原則を確認(第48条)

・医療組織の保護(第12条)

・文民に対する攻撃の禁止(第51条2)

・軍事目標と文民または民用物(軍事目標以外のすべての物)とを区別しない無差別攻撃の禁止(第51条4−5)

・民用物の攻撃の禁止(第52条1)

・文民たる住民の生存に不可欠な物の保護(第54条)

・危険な力を内蔵する工作物など(ダム、堤防、原子力発電所)の保護(第56条)

・文民たる住民、個々の文民および民用物に対する攻撃を差し控えるための予防措置(第57条)

・無防備地区の攻撃の禁止(第59条)

・紛争当事者の権力内に陥った者に対し、殺人、拷問、身体刑、身体の切断、強制売春、わいせつ行為、集団に科する刑罰、それら行為を行うとの脅迫などを禁止し、最低限の待遇を保障(第75条)

・女子の強姦、強制売春、わいせつ行為からの特別の保護(第76−第77条)

・児童の特別の保護と避難(第77−第78条)

・報道関係者は、文民と認められ、その地位に不利な影響を及ぼす活動を行わないことを条件に保護される(第79条)