保守的な日本でもじわじわ広がる海外資産への関心

 保守的な国民気質なのか、金融リテラシーの欠如なのか、原因は一つではないのだろうが、日本では個人金融資産の95%以上がいまだに円貨性の資産で保有され、50%以上がほぼ何の収益も生まない現預金に留め置かれている(図表1)。

 2021年12月末時点で日本の家計金融資産は2023兆円と2000年3月末対比で620兆円も増えている。しかし、その増分の半分以上(343兆円)が円建て現預金で、リスク資産の代表格である株式・出資金の比率は10%前後でほとんど変わっていない。

 円建て資産の構成を見る限り、NISA導入(2014年)なども挟んだ「貯蓄から投資へ」は全く奏功していない。しかし、構成比こそ小さいが、外貨性資産は0.9%から3.4%へ明確に増えており、金額だけで言えば、投資信託は7倍強、対外証券投資は5倍弱増えている。

【図表1】


拡大画像表示

 全体の比率の中では円貨性現預金に圧倒されてしまっているが、海外資産への関心は確実に高まっている。

 20年ぶりの円安・ドル高、実質実効為替レート(REER)で見れば半世紀ぶりの円安、戻らなくなった購買力平価(PPP)、消滅した貿易黒字、対外直接投資の激増──など円建て資産を取り巻く客観的事実は確実に10年前とは変わっており、20年前とはさらに違う。

 これほど分かりやすい環境変化が重なれば、大人しい日本人も動き出すかもしれない。根強いリスク回避性向がいつまでも同じとは限らない。