アンカラ空港で「劇的な受刑者引き渡し」

 ロシアによるウクライナ軍事作戦が続くさなか、ウラジーミル・プーチン露大統領とジョー・バイデン米大統領が相手国の受刑者をお互いに釈放する「囚人交換」を行った。

 4月27日、トルコのアンカラ空港の滑走路で実現した。釈放された米国人受刑者の兄は興奮気味に米メディアに語った。

「まるで映画を見ているようなシーンだった」

「双方の特別機のタラップからトレバー(リード)とロシア人の受刑者がそれぞれ降り立ち、歩み寄り、自国の関係者に引き渡された」

「ちょうど、戦場で捕虜同士が交換されるように弟は米国側に引き渡された」

 米政府高官は記者団に対し、こう釈明した。

「ロシアとの交渉は囚人交換に限定したもので、ウクライナ侵攻への米国の対応に変更はない」

 この「囚人交換」はウクライナでの和平実現など事態打開を図る米露対話にはつながらないことをことさら強調したのだ。

 一方、プーチン氏は4月28日、「囚人交換」の仲介の労をとったトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領に電話し、謝意を述べた。

(バイデン氏が同じようにエルドアン大統領に謝意を述べたという発表も報道も4月29日現在ない)

 エルドアン大統領はロシアとウクライナとの停戦交渉の仲介役を買って出ている。この段階での米露間のセンシティブな「囚人交換」でもひと肌脱いだのだ。

 北大西洋条約機構(NATO)の一員でありながら、誰の言うことも聞かない(?)プーチン氏はエルドアン氏を信用しているのだ。

 冷戦終結後、最悪の事態に陥っている米露がなぜ、この時期に「囚人交換」に踏み切ったのか。入手した諸情報を基に以下、推測してみたい。