2011年度に生産が終了した「F-2」戦闘機以降、国内における新たな戦闘機開発事業は途絶えており、次期戦闘機(「F-3」仮称)の開発は戦闘機の国内生産・技術基盤を維持するための重要な機会である。

 そして、2018年12月、「中期防衛力整備計画(2019年度〜2023年度)」において「我が国主導の開発に早期に着手する」と記載され、次期戦闘機の国産化が決定した。

 日本は、F-2の退役・減勢が始まる2035年頃から、F-3の導入を開始する。

次期戦闘機のイメージ

 防衛装備品の取得には、大きく分けると、外国で製造されたものを買ってくる輸入と自国で生産する国産に分かれる。

 国産でも自国で開発したものを生産する場合もあれば、外国で開発されたものを権利の使用料であるライセンスフィーを払って自国で生産するライセンス生産というものがある。

 国内生産・技術基盤を維持・強化するためには国産が最適であることは自明である。

 さらに、装備品の国際共同開発・生産という取得手段もある。しかし、日本には、F-2の共同開発について“苦い思い出”がある。

 当初、国産のCCV(Control Configured Vehicle:運動能力向上機)をベースに双発機で開発する方針だったが、米国から横やりが入り、単発エンジンのF-16をベースに改修する方式に落ち着いた。

 機体価格は当初予想より大幅に上がり、1機120億円近くになった。

 今回は米国からの横やりもなく、国産化がスムーズに決まった。今回横やりが入らなかったのは米国の第6世代戦闘機の構想が決まっていなかったからであろうと考えられる。

 詳細は拙稿『ついにベールを脱いだ米国の第6世代戦闘機』(2021.12.2、https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67929)を参考にされたい。

 一方、我が国側にも周到な準備があった。

 防衛省技術研究本部(現防衛装備庁)は1990年代から日本の技術で将来のステルス戦闘機(F-3)の開発の可能性を探るため先進技術実証機(X-2)を開発した。

 本機は、2017年10月31日まで計32回の飛行試験を行いステルス性や機動性を検証した。これにより日本がF-3の自国生産能力を有することを実証した。

 また、防衛省は2009年に、「戦闘機の生産技術基盤のあり方に関する懇談会」を立ち上げ、我が国で戦闘機を生産しない期間が続いた場合に、戦闘機の生産技術基盤の維持にどのような影響を与え、いかなる問題点が生起するのかを整理した。

 結論は、これまで生産技術基盤が担ってきた「高可動率の維持」「我が国の運用に適した能力向上」「安全性の確保」の3つに大きな影響が出てしまうというものであった。

 すなわち、F-3の国産化が行われなければ、わが国の防衛生産技術基盤を維持できないとするものであった。これで外堀は埋められた。

 次に、防衛省は2010年8月に、「将来の戦闘機に関する研究開発ビジョン」を公表した。そして、F-3に求めるコンセプトは、

①量に勝る敵に対する高度ネットワーク戦闘

②優れたステルス性

③敵機の捜索・探知に不可欠な高度なセンシング技術、の3点であり、「このような戦い方を可能とする戦闘機は存在しない」と宣言した。

 以上のような手立てを講じた上でF-3の国産化が決定したのである。

 さて、現在、主要国は、2030年から2035年の実用化を目指して次世代戦闘機/第6世代戦闘機の開発を競っている。

 第6世代戦闘機には、第5世代を超えるステルス性能、指向性エネルギー兵器の搭載、クラウド・シューティング能力および有人戦闘機随伴型の無人機との協働などの幅広い能力が求められている。

 日本は、この開発競争に割って入ろうとしているのである。

 かつて、世界に冠たる「百式司令部偵察機」や「零式艦上戦闘機(ゼロ戦)」を生み出した日本の航空機技術力は、今も健在であってほしい。

「ゼロ戦の夢よ、再び」と願うのは筆者だけではないであろう。

 以下、初めに、戦後の日本の航空産業の歩み、次に、先進技術実証機(X-2)の研究開発の状況、次に「ロボット僚機」の開発の状況について述べ、最後に、F-3のコンセプトと開発経緯を述べる。