(羽田 真代:在韓ビジネスライター)

 日本政府は、5月10日に予定されている韓国・尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領の就任式に、岸田首相の出席を正式に見送ると発表した。岸田首相の代わりに、林芳正外相を派遣する方向で調整中だ。

 韓国では岸田首相の出席を期待する声が出ていた。だが、4月26日に尹次期大統領が派遣した韓日政策協議代表団と岸田首相が面談したことが、日本の与野党内はもちろん、国民からも批判されたため、首相は韓国訪問を断念したようだ。

 首相が政府のトップでもない人と面談することは、韓国のような国相手ではあまり例がない、しかも、尹政権はまだ発足していなかった。批判されて当然だ。

 林外相の派遣についても、否定的に見る政府関係者や日本国民も少なくない。

「韓国が日韓関係を悪化させたのだから、韓国側が姿勢を改めるまで閣僚一人たりとも就任式に参加させるべきでない」「日韓問題におけるすべてのボールは韓国側にある」「尹政権に反日を止める力などないだろう」など、もっともな意見がSNSやテレビなどで飛び交っている。

 日韓関係を史上最悪と言われる状態にしたのは、文在寅(ムン・ジェイン)政権である。韓国側が改善策を提示するまで、日本政府が行動を起こす必要はない。林外相クラスの派遣も避ける方がいい。

 日本が首相出席を見送った一方で、中国は李克強(リー・クーチアン)首相の派遣が検討されている。中国側は、「通常よりハイレベルを送る(今までは副首相が参席していた)」とコメントした。

 ソウル経済界は、「韓国の国際的地位が高くなったからだ」と、李克強首相派遣を分析して喜んでいるが、これはあまりにも楽観的な考え方ではないか。

 尹次期大統領は、選挙時より「外交は米国、日本を優先する」と述べていた。中国は首相を派遣することによって、尹次期大統領に圧力をかけるつもりだろう。